タフツ大学CEEO 第1回共同プロジェクト実施報告

2022年7月、STEM教育における全米トップクラスとの定評のあるタフツ大学のCEEO(米 マサチューセッツ州)と弊社との約半年にわたる第1回共同プロジェクトが終了しました。

プロジェクトは、本年2月より、STEM教育でMind Renderを使用する有効性や改善課題を考察することを目的として始まりました。Mind Renderが、小中学生にコンピュータデザインやゲーム開発等を教えるツールとして適しているか、改善すべき点は何か、また学術的な環境における物理シミュレーションツールとして適しているかなどの考察が行われました。

このたび、Mind RenderとSPIKEプライム**を利用したユニークな教材作成、及び小・中学生を対象としたワークショップの実施をもって終了しました。

Center for Engineering Education and Outreach

** レゴ® エデュケーション SPIKE™ プライム

1. Mind Renderと SPIKEプライムとの連携

実世界(物理空間)とコンピュータ世界(仮想空間)の融合をテーマにした3つの教材プログラムが作成されました。

これらはそれぞれ、SPIKEプライムで作成したハンドルでMind Render内の車を運転するプログラム(1)、Mind Render内の車を運転し、車がガードレール等の障害物に接触するとSPIKEハンドルにフィードバックが返ってくる双方向のコミュニケ―ションを行うプログラム(2) 、SPIKEプライムで作成したクラブでMind Render内でゴルフをプレーするプログラム(3) です。Mind RenderとSPIKEプライムはBluetoothで接続しています。

プログラムは、今後Mind Renderのラボで提供予定です。

(1) SPIKEプライムで作ったハンドルで、Mind Renderの車を運転
(2) 車がガードレール等に接触すると、SPIKEプライムのハンドルに衝撃が伝わる。双方向のコミュニケーションを実現
(3) SPIKEプライムで作ったゴルフクラブで、玉を打つ力の強さ、高さ、方向を決めて打つと、Mind Render内のボールが飛んで行く

2. Mind Renderワークショップの開催

小学4年生~中学1年生の6名を対象にしたワークショップが行われました。

ワークショップに先立ち、CEEOの学生約20名によるMind Renderハッカソンを通してワークショップ向けのプログラム題材が作成されました。

参加した子どもたちは、用意されたプログラム題材の一部を変更するなどの課題を手掛かりにオブジェクトや背景を変更したりビジュアルエフェクトを追加したりして、それぞれにプログラミングを楽しんだ様子です。

プロジェクトを終えて

今回のワークショップを通じてMind Renderの改善すべき点が多々見つかりました。その一方でMind Renderの強みや目指すべき方向性を再確認することもできました。

多くの改善点の中でも特に優先して対応すべきポイントは「強靭さ」だと考えています。ワークショップでは、極端に桁数の多い数字を入力したり大量のオブジェクトを追加した場合にアプリがフリーズしたり異常終了するケースが散見されました。子どもがこのような操作をすることは珍しくありませんが、そのたびにアプリがフリーズしたら多くの場合で嫌になって使うのを止めてしまうはずです。少々乱暴に扱ってもアプリの動作には影響しないよう対策を講じたいと考えています。

良かった点も多々ありました。ワークショップの報告の中に、子どもたちはMind Renderに入っているビジュアルエフェクトが大好きとの指摘がありました。ビジュアルエフェクトは見た目を簡単に変えることができ、プログラミングの結果がすぐにわかるところが楽しいのでしょう。他にも、Mind Renderには多様な3Dオブジェクトや背景が用意されていて、それらを自由に追加・変更できる点も気に入ってくれたようでした。Mind Renderを使うとクリエイティブになれるという評価も頂きました。

機能面以外の示唆もありました。ワークショップの前に実施されたハッカソンでは、初めての人にMind Renderは難しいのではないかとの懸念が出ていました。そこで、ワークショップでは、ゼロからプログラムを作るのではなく、わかりやすいプログラム題材を提供し、そのプログラムに簡単なことから始めて徐々に難しい変更を加えていくようにしました。これにより、スムーズにプログラムを発展させることができました。この結果をふまえ、Mind Renderで提供する例題プログラムの内容や提供方法などさらに検討していきたいと考えています。

Mind Renderは、子どもたちが楽しいと感じる、子どもたちが夢中になるプログラミング環境でありたいと考えています。今回のワークショップは、Mind Renderの強みや目指す方向の正しさを再確認する機会になったと考えています。自信にもつながったと感じています。

CEEOは、子どもが実体化できるものをテーマとしたSTEM教育のあり方を研究しています。今回のプロジェクトでは、その一例として、SPIKEプライム(エンジニアリング、現実世界)とMind Redner(コンピュータ、仮想世界)を連携させ、現実世界から仮想世界のものを操作したり、仮想世界の出来事を現実世界にフィードバックするような教材プログラムを作成することができました。Mind Renderはmicro:bitと連携して動作しますが、Mind Render→micro;bit、もしくはmicro:bit→Mind Renderという一方向のみでしかコミュニケーションできません。SPIKEプライムは双方向のコミュニケーションが可能という点で新しく、今後、この特徴を活かした事例をさらに検討していきたいと考えています。

最後に、このような貴重な機会を提供し、学生を指導されたロジャース教授 (Dr. Chris Rogers)、及びワークショップの企画・準備、子どもたちのサポートやSPIKEプライムの教材プログラムの作成などを行ったタフツ大学の学生に感謝申し上げます。弊社は今後も同大学との連携を深めてきたいと考えています。

タフツ大学CEEOについて

タフツ大学CEEOは、子どもが実体化できるテーマを中心とした科学・技術・工学・数学 (STEM) 教育の有効性を研究するため2004 年に設立された教育研究部門です。修士及び博士課程の学生を受け入れています。タフツ大学は米国で、コンピュータと工学を合わせた子ども向け教育を研究している数少ない大学の 1 つです。

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